攻殻機動隊 SAC‗2045持続可能戦争を見てきました。
攻殻機動隊ファンなのですが、しばらく情報が入ってこず、ARISEなどは見逃していますが、最近の動向を調べているうちに映画をやるとわかったので、見に行くことにしました。
ちょうど新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除され、劇場も全国たった20ヶ所の2週間限定であるも、東京に住んでいる利点を生かして、チャンスをものにした形です。
ツイッターに公式アカウントがあり、調べていると前売り券の発売締め切りが近づいていることを知り、購入しました。
もう何年も映画を見ていないので、ムビチケなんて聞いても何のことかわかりません。とりあえず、ネットで買えるというだけで、映画館も調べずに買ってしまいました。
料金は、通常1900円のところ、1500円になりました。
映画館は東京23区で、新宿、池袋、亀有でした。近いのは池袋ですが、亀有もまぁまぁ近いです。
買い物のことも考えて、池袋にしました。ネットでも座席予約状況がわかるので、なるべく空いている日、時間、上映館を調査していましたが、まぁ、結構空いています。休日でも2割くらいでしょうか?私が行ったのは連休の間の月曜日の8:30で、10人もいなかったと思います。悲しいですね。
映画上映を記念して、東京MXテレビやGYAOで、過去作品を無料放送していました。
初期のテレビ版のスタンドアロンコンプレックスと2ndGIGです。STAND ALONE COMPLEXを全部見ることが出来たのですが、意外にも私は全部通してみたことが無かったようで、途中も何話も見ておらず、初めて内容を知った(覚えていない?)感じです。笑い男の話ですが、通してみると、こんな話だったのかと、初めて知った感覚です。
また、映画も5種類あったようで、イノセンスはあまりにも有名ですが、まぁ、これはあまり話は関係なさそうです。最初のゴーストインザシェルはもう一度見ると、何となくわかっていなかったようです。(映画を見て帰ってきて、3作目のSOLID STATE SOCIETYを見ましたが、初めて見たような気がします)
まあ、ストーリーがわからないくても、楽しめる作品ということです。(笑)
とにかく理解が出来ないストーリーがネックの攻殻機動隊です。何回か見た方が少しは理解できるので、予告編を何回か見て、セリフが飛ばないように頭を慣らしておきます。
公開されている予告編と冒頭8分を見ても、主にアクションなので、ストーリーを理解するまではいかないのですが、トグサとは別行動で、傭兵のようなことをしています。
まず、気になったのが、フル3Dです。
背景やメカはすでに3Dでも違和感がないので安心していますが、キャラクターだけはあまり期待できません。
予告だけ見ると、つるんとした顔、不自然な動きをしているような気がして、ちょっと気になりました。何せ、アップルシードの映画も見に行ったのですが、かなりげんなりしました。フル3Dのネズミィ映画もオーバーな表情で気味が悪いですからね。2Dの良さは、見る側の想像を残してくれますので、脳内で自分の好みに補完出来ます。3Dは現実に近い押し付けなので、好みに合わなければ、嫌悪感しかないでしょう。
それと、この映画はネットフリックスで12話のシリーズとして作られたようです。それを2時間に編集したものだそうです。ネトフリは見ていないので、いきなり映画を見ることになります。
これで、映画への準備ができたかな?と思います。
ストーリーは触りだけ書いていますが、ネタバレを含む箇所もありますので、ご注意ください
全体を見た感想は、「面白かった」です。期待以上に楽しかったので、満足です。とにかくかっこいい攻殻機動隊の迫力ある戦闘シーンをたくさん見ることが出来ました。
購入した飲み物も、半分も飲めないほど、息つく暇がありませんでした。唾液を飲み込むのも忘れ、一気に飲み込んで、むせそうになり、必死に我慢もしました。それくらい、内容の濃い作品でした。
ストーリーは、公安9課が解散して時がたっています。トグサは民間の警備会社でピストル持って悪いやつを捕まえていますが、他のメンバーは雇われ傭兵みたいなことをやっています。
社会はAIに支配されそうになっており、いったん経済崩壊(デフォルト)を起こし、持続可能戦争を起こしていますが、世界情勢は徐々に悪化しているようです。
そんな中、新しい総理大臣の希望で公安9課が再開されるようで、オリジナルメンバーが集められるのですが、その前に厄介な奴らに巻き込まれてしまいます。
どうやら、ポストヒューマンという人間が発生しているらしく、脳がスーパーコンピューター並みに発達し、生身の体でも弾丸を避けまくったり、肉体が砕けても攻撃したりと、おかしな状態になっています。なので9課の得意な電脳戦で全く歯が立たず、ハッキングしようとした瞬間全員ハッキングされ返すという、とんでもないやつらです。
おかげで、戦闘シーンは9課も苦戦しますが、半分以上は派手なアクションで飽きさせません。
結局映画が終わっても、そいつらがどんな奴らかもわからず、つづく的な終わり方であり、ストーリーとしては、長いシリーズの第1話か2話のような感じです。
舞台もアメリカ大統領まで巻き込み、アメリカの同胞として勝手な指示をされるという、とんでもない規模の話になり、公安9課としても、わだかまりが残る仕事ばかりになっています。
元々攻殻機動隊はストーリーが難解なので、わかろうとするのが無駄なのですが、この映画の各事件は意外と単純なので、結構わかりやすかったです。
ただ、全体を通してみると、いろいろな事件があり、先ほど言ったように国のレベルがあがり、結末をどう収集するのか?なぜこんな仕事を引き受けるのか?という理不尽な部分も出てきているのも事実です。
そんな難解なストーリーが攻殻機動隊の魅力でもありますが、同作品にストーリーを求めることは出来ないので、映像、キャラクター、世界観、アクションで、ストーリーなどは蹴散らして欲しいものです。
キャラクターの顔ですが、今回のキャラクターデザイナーのイリヤ・クブシノブ氏がかわいくしたので、なんか、6頭身ぐらいのデフォルメっぽく見えたのですが、見慣れてしまうとうまく動いています。顔も完全3次元のリアリティを追求したものではなく、2Dアニメの良いところを残した3Dとしているので、かなり違和感がなく、動きの滑らかなセルアニメのような雰囲気が残っています。そのため、顔に黒いアニメ線が所々に入ります。
鼻の形が特徴的で、鼻の穴を積極的に書いていますが、鼻は低く、日本人的な顔になっています。私はこれは、かなり好意的に見ることが出来ました。
少佐はかなりかわいくきれいに書かれていますが、特に唇がつやつやに描かれています。どうもそれが美しくて、つい見とれてしまいます。今までのデザインは本当にメスゴリラみたいでしたから、バトーが少佐を好きな気持ちが理解できませんでした。しかし、これでやっとバトーに感情移入が出来ました。
やはり声優陣がオリジナルメンバーというのが良いです。ああ、公安9課だという安心感が見身から伝わってきます。顔は人間も変わっていくものですが、声やしゃべり方で安心するものです。
新キャラのアメリカ野郎は悪くありませんでしたが、失敗する役なら、9課にはいらないでしょう。何とかプリンは能力は高く、仕事もできますが、バックアップに徹して欲しいものです。
まず懸念されていた3Dですが、意外と違和感なく見ることが出来ました。
キャラクターは、モーションキャプチャーで動かされているようですが、結構きれいに動いています。実写ではワイヤーアクションが多用されていますが、あれもかなり違和感があります。
モーションキャプチャーも、人間的な動きとキャラが合わない時もありますが、スピード感など、うまく修正されているようです。
よって私は、キャラクターや3Dになって、かなり攻殻の質が上がったと感じました。私はというのは、ネット上の口コミでは、批判的な人も結構多いです。好みの問題は確かにあります。
これを見てしまうと、やはり20年前のテレビシリーズは、ボロボロのような気がします。
メカやロボット、兵器などは、やはり3Dの力は強く、さらに精度も増しているようで、動きなどはかなり完成されています。
また、今回は戦闘シーンが多く、大型の兵器(ドローンやアーマースーツ)や重火器が多く、迫力が違います。今までの作品はサスペンスというか、人間同士や政治家のやり取りや複雑な関係で交渉などが多かったようで、意外とドンパチが少ないですね。
とにかくかっこいい戦闘が見たいという、攻殻ファンの期待に応えるものになっています。
ドローンやアーマースーツ、ロボット番犬など、新しい兵器も多々あり、タチコマもバージョンアップして、トレンドなどを取り入れている努力はすごいです。
私は音楽に関しては疎いので、特に印象は無かったです。エンディングの曲は、うるさいなという印象でした。
とにかく戦闘シーンでは、爆音が鳴り響き、迫力は満点です。
しかし、立体音響という意味では、3Dの感覚はなく、その恩恵は今一つでした。
今回のSAC‗2045は、アクションが多いです。アップルシード並みの戦闘力です。
それもそのはず、アップルシードの監督、荒牧伸志氏がいるからです。
この作品は、神山健治氏と二人が監督で、ネットフリックスで12話の新作として作成し、藤井道人氏が映画の編集などをした監督となります。
押井守氏のイノセンスは別格で、おどろおどろしい雰囲気で、見る側を置き去りにするストーリーなので、戦闘は少なめですが、他の作品も比較的それほど大型兵器などでの戦闘は多くありません。
そのため、見る側の戦闘満足度は高いです。かつ丼の上に天ぷらが乗っている感じです。
映画館の為の作品と言えます。
表現は時代によって変わりますし、顔は義体なので変わってもしょうがないのですが、声優陣がオリジナルなのは安心します。田中敦子さんや大塚明夫さんの声で、ああ、9課のメンバーだとわかります。
ネットの感想や口コミ、レビューを見てみると、意見は分かれますね。
やはり顔が違うとか、3Dが見づらい、違和感がある、技術的に低いという意見もあります。
感想なので、それらの人に意見することは何もないですが、私は非常に満足し、かなり良い作品だと思っています。
ただ、人にどんな作品かと聞かれても、すごいとしか言いようは無く、内容も説明できません。
ヤフー映画などにも書き込みましたが、印象としてのキーワードを上げるとしても、かっこいいしか選べませんでした。ストーリがいいわけではなく、涙もない、感動もない、悲しくもない、笑えるものでもない、サスペンスでも教養作品でもありません。ただただ、かっこいいだけのエンターテイメント作品なのです。
3Dという手法ですが、アップルシードでかなり幻滅し、アナと雪でも気味が悪いと感じました。ゲームなどでは、実写と見まがう出来の物もありますが、何か違和感があります。
ただ、3Dも2つ種類があると思います。リアルを忠実に再現する方法と、セルアニメを自動で描いてくれる手法です。
リアルに忠実に作ってしまうと、それは実写に近くなってしまいます。現実に起こらないことをリアルに表現できますが、人間は、しわやシミ、鼻の穴まで書かなければなりません。アニメーションでそれをやってしまうと、それが役者であり、見る側の妄想の入る余地がありません。そういう人間(役者)がいるということで、その役者を好きになるか嫌いになるかということです。
ですので、技術に頼ってリアルを突き詰めると、ハリウッド映画のようになってしまうということです。
もう一つのセルアニメ風の3Dにすれば、今までのアニメの良い部分である妄想が残されます。レンダリングなどせず、鼻も書かなければ、そこにある鼻や肌のしわなどは、勝手に見る側が想像できます。
今回のSAC_2045は、動きはモーションキャプチャーを加工して迫力ある表現を実現しましたが、表情は2Dアニメのいいところを残しており、私は成功したと思えました。
攻殻機動隊が難しい、理解できないとよく言われます。私も全部見ていないのもありますが、一部を見ても、1話だけ見ても、理解できない物ばかりです。でもそれでも楽しいので問題ありません。理解する意味が無いということです。
漫画を売ったのも、「この話を理解しても、何も得られない。ただ、作者の脳内を覗いているだけで、彼の妄想に時間を割く必要はない」と考えたからです。
ただ、押井守氏の作品は、さらに輪をかけて理解するだけ無駄です。なにせ、わからないように作ってますから。(笑)
攻殻機動隊はパラレルワールドです。どの作品もつながっておらず、話としては全部独立しています。9課のメンバーだけ同じで、凶悪な事件を暴力で解決し、政治とネットハックの力で後始末しているだけです。(笑)
タイトルもややこしく、「攻殻機動隊GHOST IN THE SHELL」がオリジナルタイトルで、初期の映画でもあります。テレビアニメ版3作は、「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」と副題が変わっており、略してSACシリーズとしてさらに副題が付きます。しかし、ストーリーはつながっていません。今回は「SAC_2045」ですが、イノセンスとARISEは、なにも付きません。
ハリウッド化やARISEなど、長く作品が作られ続けている以上、いろいろな表現の仕方が出てきます。初期のファンの気持ちもわかりますが、どれが攻殻機動隊か?ということは決められません。初期も正しいとは言えません。なにせ、漫画も当時読みましたが、面白いけど理解が出来ず、売ってしまいました。
ただ、攻殻機動隊の特に近未来型戦闘表現は、あらゆるメディアに影響を与えているのは事実で、マトリクスしかり、すべてのSFが攻殻の後継者と言えます。
そういう意味では、このSAC_2045は、正常進化であるといえるでしょう。
攻殻機動隊の楽しさ、かっこよさは、複雑な背景、未来的な兵器と人間の複合された戦闘、9課メンバーの瞬時の判断力によるものがあります。
そのため、設定やストーリーや多少の矛盾点は目をつぶることが出来ます。話が分からなくても問題ありません。どの作品を突然見ても、楽しめるということです。水戸黄門や寅さんと同じですね。
攻殻機動隊のファンは結構いると思います。ただ、会社の先輩も笑い男のマークを知っていたので、おお!と思ったのですが、実はパチンコで知ったようです。
そんな攻殻もまた次回作も作成中のようです。ネットフリックスでは、12話分が見られるので、カットされている映像も見れますね。うーん、見たいです。
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