カーボンディープリムホイールを入手しました。DT Swissの ARC 1400 DICUT 62です。
チームの方が、ディスクブレーキロードに乗り換えるため、手放すのを譲っていただきました。
以前、渡良瀬遊水地で貸してもらって、1時間ほど乗りましたが、速くなることは無いにしろ、そのカッコよさに憧れがありました。
自分はヒルクライムが苦手だったので、フレームやホイールやタイヤは、徹底的に軽量化に振っていました。
ただ軽量化しすぎて、荒川サイクリングロードなどの平坦でのスピードの維持しづらさや、下りや高速下でのコントロール性の悪さが目立ってしまい、レースなどでも加速や速度維持に不満がありました。
そんなわけで、ディープリムホイールを手放すと聞いたときは、われ先に手を上げて譲ってもらいました。まだ2週間しか使っていませんが、最初の感想を書いてみたいと思います。
DT Swissの ARC 1400 DICUT 62 です。カーボンディープリムで、リムブレーキ仕様です。
リムハイト62mmと、大きめのディープリムです。
重量は、前後で1673gです。
ハブのスターラチェットは、18Tを36Tへグレードアップしているようで、かかりはとても良さそうです。
3年くらい使用されていますが、メンテナンスは行き届いており、バリアスコートなども普段からやっているので、とてもきれいです。引き渡し直前も、ハブを分解してメンテしてくれています。
レースでもガンガン使われており、E3入賞の実績もある人が使っていたので、強運も付いてくるでしょう。
DT SWISSのクイックリリースは、ぐるぐる回して締めるタイプで、締結力に定評があります。かなりしっかり締めることが出来ます。私のフレームは剛性感が弱いので、これはありがたいです。
タイヤやスプロケットも付けてもらいました。
私初のチューブレスになります。メンテナンスなどは全く知識がありませんが、楽しみです。
スプロケットは、11-25の男ギアです。どうせディープリムで山に行く気はないので、使わせていただきます。
以前借りた場所、渡良瀬遊水地で引き渡しを行いました。ホイールを持たずに輪行で行ったので、いつもより軽くて楽でした。
チーム練習だったので、4人ほどでそのまま走り出しました。
最初はウオームアップですが、4人トレインなのでまぁまぁの速さです。
力を入れただけで、グイグイ進んでいく加速感は、剛性の高さだと思います。
ジャイロ効果もあり、ハンドルの効きが悪くなります。ハンドルを曲げる時は力が必要になります。風であおられると、ハンドルを取られやすくなります。
カーボンなので、見た目ほど重さはないのですが、さすがに私の持っているシャマルウルトラよりは、前後で200gくらい重いです。しかし、平坦だからか、加速は重いといった感じはありません。(逆にシャマルが軽すぎる感があります)
いい感じでスピードは出しているのですが、スピードメーターを見ると、それほど速くありません。やっぱりエンジンなりということでしょうか。この時点では、巡行が楽になったという感想はありませんでした。
ダンシングをすると、今までのクリアランスでは、ブレーキシューに当たってしまいます。結構広めにとらなければなりません。私はブレーキがすぐ効く(引き代が短い)方が好みなのですが、かなり引き代が長くなりました。まぁ、慣れれば問題ないですし、そんなにブレーキばかりかけませんから。
そういう意味では、アルミホイールの方がゆがみは少ないのかな?と思います。カーボンは左右にしなるのかもしれません。
さて、快調に7kmの周回が終わる頃、異変が起こりました。足が終わって(疲れ切って)しまったのです。確かに加速が良いのでグイグイ踏んでいましたが、それでもウォーミングアップのつもりでした。
周回が終わる頃には、チームメイトは気づかず、はるか先へ行ってしまいました。
やはり慣れていない、しかも剛性が上がったパーツでは、こんなことも起こるんですね。良く高剛性フレームに乗ると、足を持って行かれると言う人もいますが、同じようなことだと思います。使う筋肉が違って、今までと同じように乗れなくなってしまうのでしょう。
結局この日は前半ペースを合わせてもらいましたが、強風も吹き荒れておりペースはアベレージ30km/hとディープリムの期待した効果は得られませんでした。
ちなみに横風、向かい風、追い風で走りましたが、風でコントロールを失うということはありませんでした。私が重いからかもしれません。
ただ、向かい風は気にならないのですが、横風はかなり減速するような気がします。チームメイトの真横を走ることで、軽減されます。
自分の貧脚を呪いながら、ホームの荒川サイクリングロードで、パワーアップとホイールに慣れるため、練習しました。
加速は悪くないのですが、その時どうしても足の力を使ってしまい、すぐに疲れてしまいます。おそらく、普段鍛えている筋肉であれば、ある程度の力を持続的に出せるのですが、いつもと違う筋肉を使っているため、同じ力を出し続けることが出来ないということでしょう。
ダンシングなんかも試してみましたが、今までのダンシングと体重のかけ方が違うことに気付きました。今までは横方向にしならせて、反動を利用して進ませている部分があったような気がしますが、カーボンでは、地面にまっすぐに荷重をかけてやらないと、推進力に変わらないような気がしました。
そんなこんなで、3日くらい乗ると、だいぶ慣れた感じが出てきました。最初のころのように、すぐに足が終わることもなく、自分の思ったように加速、巡行が出来るようになりました。
巡行も、速くなるのではなく、同じスピードであれば楽が出来る事がわかりました。加速をしっかりした後に、楽にスピード維持をする乗り方が良さそうです。
加速も良く、荒川の土手を駆け上がるところも、軽量ホイールとそん色なく上れます。
あまり足を使わず速度を維持して坂に突入し、残った力でグイグイ加速してくれるので、軽量アルミより速いかもしれません。
これと同じ要領で、スプリントも速くなりました。力を少し残してスピードを上げていき、残った力でさらにスピードを上げて行けます。トップスピードも上がり、持続時間も長くなったような気がします。
ちなみに、ブレーキは問題なく使えます。雨は乗っていませんが、効きはそん色ないです。
使っていた人も、八方ヶ原(13km7%)を一気に下っても、問題なかったと言っています。
それと驚いたのが、小回りが利くということです。Uターンの回転半径が小さくなりました。また、車止めの狭いポールの間をすり抜けるのもやりやすくなりました。
いつも、S字で避けるところは、かなりふらつきながら、危ないので足を付きながら通過していたところも、狙ったところに入っていけます。小さくUターンした後のポールの隙間も、より内側を通過することが出来るようになりました。やはり軽量アルミホイールや軽量タイヤでは、剛性不足なのか、フニャフニャして思ったところを走れなかったと思います。より高速なレースなどでも、こちらの方が良いような気がします。
この後も、彩湖の土手を1時間走ったりしてみましたが、速く走ることよりも、まずは慣れることを意識して走りました。
Super Cycle Enduro in 下総の3時間エンデューロソロで出ることになっていました。問題は、ホイールをどうするかです。
当然カーボンディープリムの方が戦闘力は増すと思いますが、なにせ2週間前に一瞬で足が終わったホイールを、初の3時間レースに使って大丈夫なのかという不安はありました。
しかし、1時間走り続けてみた感触や、荒川サイクリングロードで自由に加減速できるようになったことなどを踏まえて、実戦投入することにしました。
結果的には投入して正解でした。残り30分ぐらいで足腰が悲鳴を上げたのは、この距離が未知の領域だったので、ホイールのせいではないでしょう。
以前、このコースの90分エンデューロに出たときは、フレームはFELTのアルミで、ホイールはZONDAと、タイヤはパナレーサーのジラーでした。
その時と比べて、成長分もあるかと思いますが、明らかに走りやすくなりました。
一番感じたのが、最後の坂手前の、グランドを大きく回るコーナーです。前のタイヤでは、全開で走ると曲がり切れないのでは?と、吹っ飛ぶような不安感がありましたが、今回はどのラインでも狙ったところを走ることが出来ました。
集団に付いていくことは出来ないので、自分のペースで走ったのですが、トレインで休みながら付いていったり、前を引いたり、前に追い付いたりなど、自分でコントロールできる部分が増えました。今までは、走るだけでやっとという感じでした。
最後の坂も、上るのがやっとでしたが、ホイールのおかげかスピードが落ちづらく、勢いのまま上っていくことが出来、思ったほど苦にならずにクリアできるようになりました。
このコースはブレーキを使うコーナーは無く、集団の後ろでのスピード調整くらいです。そのため、ブレーキ性能は不明です。
やはり高速レースはしっかりした足回りが必要なんだと思いました。ただし、重量が増えるので、それをコントロールできる、強靭な肉体も必要ということですね。
見た目よりも実用性を取る私なので、使い勝手や走りに関する評価が中心ですが、でもかっこよくなったのは確かです。自分のロードバイクながら、うっとりします。DT SWISSのデザインも、アメサイドのタイヤも、落ち着いたカラーのフレームにマッチしており、スポーティさを感じないBMCのTEAMMACHINEのフレームに速さが感じられるようになりました。
音も何より良いですね。
ラチェット音はまぁまぁの音量で、かっこいいですが、カーボンホイールのリムブレーキ音は、周りへのアピール度が高いですね。ただ、ここでブレーキかけるの?っていうチキンぶりが、ばれてしまいますが。
それに、シフトチェンジ音。カーボンに響くんですよね。カンッ!カンッ!って。これもいいです。
最初は自分には力不足か?と感じたのですが、慣れてくると自由に操れることが出来、自分の手足のように動いてくれると感じました。
利点は、同じ巡航速度を楽に維持できること、反応が良いこと、足があればグイグイ加速していること、短い坂も軽々上れること、下りはスピードが出すぎること、ブレーキも問題なく効くこと、かっこいいことなど、良いことばかりです。
悪い点は、値段が高いことくらいでしょうか。風の影響はあまり感じません。自分の体重が重いからなのか、そういう場面に出くわしていないからなのかもしれません。62mmというと、この点に悩まれる人が多いので、これから様子を見てみたいと思います。
自転車はエンジン(乗り手のパワー)とよく言われる一方、機材のスポーツとも言われます。
確かに同じロードバイクであれば、力のある方が勝ちますが、同じ力であれば、機材で差が付きます。ひとつひとつの効果は小さいものの、それらを集めるととんでもないロードバイクに仕上がります。
やはりこのホイールも、レースで優位に立つには欠かせないパーツです。使ってみてわかりました。使っていない人にとっては、やっていられないのではないでしょうか?拳銃とアサルトライフルで撃ち合っているような気もします。
これでヒルクライムは出来ないと思っていましたが、こっちのが上れるんじゃないか?という迷いさえ感じています。
よく、ディープリムを持っている人に、どうですかと聞くと、「坂も行けますよ」とよく言われました。なんでそんなこと言うのか不思議でしたが、今ならその理由も分かるような気がします。私も聞かれたら言おうかなと思います。w