レースで軽さは不利?自分に合ったロードバイクの軽量化の限界は?

ロードバイクは軽さが正義と言われます。軽くすればするほど、ヒルクライムは楽に速くなり、加速も減速も良くなります。
ただ、軽い部品は価格が高くなり、突き詰めていくと10g1万円とか、1g1万円とも言われています。

私も新しいフレーム、ホイール、タイヤは軽量であることを重視して選んでいます。
特に回転するホイール、タイヤは、軽量化の恩恵を大きく受けて、ヒルクライムの楽さやロングライドの疲労軽減にも役立っています。

しかしその代わり、失ったものも少なからずあります。
軽量化と表裏一体をなすデメリットを考えてみたいと思います。

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軽くすると剛性が弱くなる

軽くするということは、同じ材料であれば体積を減らすしかありません。そうすると、部品は強度が減り、柔らかくなります。それでも軽量化したいのであれば、希少性のある素材を使ったり、設計を工夫したりするしかありません。

フレームであれば、ライダーの力によってゆがんでしまいます。折れるわけではありませんが、踏めば曲がり、踏みやめれば戻るを繰り返して、力が逃げてしまったり、まっすぐ走らなかったりします。

タイヤやホイールも強い衝撃を受ける部分なので、かなり影響があります。
ライダーの重さや力でたわんでしまったり、下りでスピードが出ている時のカーブなどで、路面が凸凹していると、思った通りに走ることが出来ません。

財布も軽くなる

軽くても剛性の高い材料もあります。カーボンやチタンですが、それ以外にもレアメタルではありませんが、特殊な材料で軽くすることもできます。
その場合は、値段がとても高くなります。

軽量で発売されたエスワークスのエートスは完成車でUCI規定より1kgも軽い5.9kgで、お値段150万円。
ただ軽いだけのロードバイクなら、30万円くらいからありますが、レースを考えた剛性の高いバイクは軒並み100万円くらいします。

巡行スピードが落ちる

平坦を走る場合、慣性が大いに利用されています。いったんスピードにのせてしまえば、惰性で進んで行きます。
しかし、軽くすると、空気抵抗で押し戻されやすく、減速しやすくなります。そのため乗り手は漕ぎ続けなければなりません。
(物理の法則で言うと、走っているエネルギーは、1/2・mv^2なので、同じスピードvで走っていると、体重mが重い方がエネルギーを持っています。同じ空気抵抗を受けるとすると、同じエネルギーを減らされるので、重い方がエネルギーが多く残るということです)

確かに軽ければ、多少のアップダウンや信号でのストップアンドゴーも楽になりますが、それ以外の速度の変わらない領域では、少し苦労します。
特にホイール、タイヤでは、慣性が大きく働いているため、軽いと足を回し続けなければなりません。

また、剛性が低いと、まっすぐ走っていても凹凸などで車体がゆがんでしまい、エネルギーのロスが発生します。

エンデューロなどは苦手?

状況やコースにもよりますが、一定のスピードで走り続けることの多いサーキットなどのコーナーの緩やかなエンデューロレースなどでは、軽さが原因で、走り続けるのにパワーが必要になってしまいます。下りでは、足を止めていると重い人の方がどんどん先に行ってしまうと思います。

ロードレースも加減速はそれほど大きくないため、軽量化のメリットは少なくなります。クリテリウムは加速を繰り返しますが、先頭の方の勝負に絡む選手の加減速はそれほどでもなく、巡行がほとんどを占めます。
これらのレースで、エアロフレーム、ディープリムホイールが多く走っている状況でもわかると思います。

軽さの限界点とは?

軽さのデメリットをカバーできれば良いのですが、ある程度は重さを増やした方が良い場合があります。

まず剛性においては、乗ってみて思ったように進まなかったり、スピードが出なかったり、乗りづらいと感じる場合があるので、一つは感覚に頼ることです。
軽い方が良いのですが、軽すぎて自分の好みに合わない場合は、少し上のグレードを狙うか、重さを上げてみると良いです。

また、剛性は振動吸収(上下剛性)、直進加速(前後剛性)、ダンシング(左右剛性)に分かれます。
一概に剛性が高いとか、乗り心地が良いと言われていても、感じ方が人それぞれなのは、この部分にあります。
乗り心地が良いと称しているものは、左右も前後も柔らかい場合があります。また、硬すぎる場合は、振動吸収が悪くなり、路面によりスピード維持能力が低くなる場合があります。

さらに、乗り手の体重にも左右されます。一般的には、ロードバイクの重量は、軽くても自分の体重の1/10までの方が良いとされています。
加速やダンシングを試してみて、フレーム、ホイールを限界まで軽いものを選びましょう。

ただし、ヒルクライムは、軽さ一択です。(速度の低いブルベやロングライドも軽い方が良いかも)

今のレースは、軽量不利?

軽量の利点は、加速減速が良く、上りが得意になります。
逆に苦手なのが、巡航速度維持と下り。ついでに言うと剛性不足によるコーナーです。特に高速になる下りのコーナーは、剛性が無いと異常に不安定になります。

今のレースはどうでしょうか?特にロードレースですが、スタート地点に並んで、よーいドンで全力疾走をしません。パレードランからのアクチュアルスタートで、非常にゆっくりとした加速です。これは、軽量による加速の良さが生かされません。

次に上りですが、ロードレースのコースの上りは、数百メートルのアップダウンを繰り返すことが多いです。ツールドフランスの山岳コースのように、3000m上るとかはありません。数kmの上り坂は、ヒルクライムになってしまいます。

そうなると、50km/hで上りに突っ込み、パワーで頂上まで行く頃には20km/hくらいまで落ちるかもしれませんが、軽量というより、勢いで上れてしまうので、軽量の利点は少なくなります。

そして下りは、重い方がスピードが出ます空気抵抗も軽いと押し戻されてスピードが落ちやすくなります。さらにブレーキを頻繁に使うようなテクニカルなコーナーでは、剛性が無いとしっかりライン通りに走れません。フレームやホイールがたわむことで、止まったり曲がったりすることが危険になり、スピードを下げざるを得なくなります。コーナリングは軽い方が曲がりやすいのですが、バイクが軽くて乗り手が重いと、最悪な条件として曲がりづらくなります。

そして、距離の長いロードレースは、道中いかに楽して走るかにかかっています。下りと同じように、高速で巡行することは、重い方が有利です。またエアロ形状のフレームやディープリムホイールの方が有利になります。先頭を走る分においても、空気抵抗があって、軽さは不利になります。
つまり、高速での巡行で疲れるのは、軽量の方になります。

軽量の利点となるのは、アップダウンの上りの時に少しと、スプリントの反応の良さ程度になり、大部分は不利なまま走り続けることになります。
サーキットのような、ブレーキを使わないエンデューロやタイムトライアル、クリテリウムは、完全に不利になります。出番は、ヒルクライムだけのような気がします。
もしルールが、短距離、ゼロスタート、長い上り、一定のスピードを維持できないコーナーの連続などのコースやルールであれば、軽量が有利になるかもしれません。

私は過去のブログで、エアロフレームより、軽量フレームの方が、レースで有利と書きましたが、完全な間違いでした。
確かに理屈では、軽いと減速しやすい分加速も軽いので、プラマイゼロかと思ったのですが、レースをこなしているうちに、今のレースでは軽量フレームが活躍できる条件がありませんでした。

私の感じたこと

上に書いたデメリットは、私の感じたことから書いていますが、最初はタイヤ(パナレーサージラーやピレリPZEROTT)とチューブ(R’AIR)、ホイール(カンパニョーロシャマルウルトラ)を軽量化しただけで、ものすごく感動しました。フレームもBMCのTeamMachine SLR02のカーボンフレームにして軽量化のメリットは本当に多くあり、ヒルクライムやロングライドでかなり楽になりました。

結果、今のロードバイクは、7.2kg程度になっています。まぁ、これ以上はお金はかけられないので、ほぼ限度でしょう。
高剛性の軽量パーツはどうしても高価になり、手が出せないため、剛性は完全に捨てていました。
私のような貧脚であれば、力いっぱい踏んでも、たわむわけがないと思っていました。
しかし結果的には、下りなどは誰でもスピードが出てしまうので、剛性の低さを感じることになります。

また、私のBMCのSLR02の上のグレードSLR01に乗ったのですが、踏んだ時の加速違いに愕然としました。フレームだけではありませんが、カーボンフレームで軽ければ何でも良いという、私の考えは間違いだと気付きました。

昔はスキーもやっていて、安くて短い板だとスピードを出した時に安定せず、怖い思いをします。同じような事なのかもしれません。

最近は、脚力アップのために、強く踏むトレーニングを中心にしており、軽いホイールやタイヤでは、いろいろ不満が出てきます。
同じようなパワーで走っても、ホイールやタイヤが重い方が、平坦ロングのタイムは早くなります。本当はディープリムホイールが欲しいのですが、平坦ではシャマルウルトラより、ゾンダで走っています。平坦巡行であれば、ゾンダから鉄下駄に戻して走っても、あまり変化がありませんでした。

軽過ぎず、硬過ぎずが理想

軽量化は、ロングライド、ヒルクライムでメリットがありますが、平坦のレースをする人やパワーがある人にはメリットばかりではないようです。

レースをやらなくても、ロングライドなどをすると、剛性がありすぎても無さ過ぎても疲れてしまいます。しかし、硬いのと疲れやすいことは一致しませんので、相性があると思います。
本当に近場のサイクリングであれば、ミニベロでもS-WORKSでもなんでも良いのですが、ロングライドとなると、軽さや剛性の影響が大きくなります。

ネットではいいと言われていても、自分の乗り方と違うと、いろいろ不満が出てきます。デザインが気に入ればよいと言われていますが、それだけでは危険すぎます。

プロのレーサーの軽さだけでは無いバイクづくりを見ても、軽さは正義ではなくなってきてるのかもしれません。

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ぴよこ監督

ロードバイク歴4年。ダイエットのために自転車を始めて、メタボ解消。コレステロール・高血圧が解消された、アラフィフおじさんです。 ロードバイクは買い物から草レースまで、何でも挑戦中。