湿潤療法って本当にきれいに治るのか?

健康
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ロードバイクで落車する方も多いと思います。不安定な乗り物ですから。
ちょっとぶつけて切ったりした程度では、せいぜい2~3cm程度の傷ですが、自転車ではある程度のスピードで、アスファルトに激突するので、広範囲を擦りむきます。

擦過傷には、絆創膏が一般的な治し方でしたが、いつしか、湿潤療法(モイストヒーリング)が普及してきました。完全に置き換わるか?と思ったのですが、意外とそうでもありません。私も落車して湿潤療法をやってみましたが、その時の感想や考えについて書いてみました。

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擦過傷

擦過傷とは、いわゆる擦り傷のことです。皮の表面だけが擦れてめくれ、出血を伴います。考えただけでもヒリヒリしますね。

湿潤療法

湿潤療法とは、その擦過傷ややけどなどの治療として評価されています。
いままでの、絆創膏を貼るいわゆる、消毒をする、乾かすという概念を逆にいき、
消毒せず水洗い、乾かないよう、水を通さない絆創膏を貼ります。

ハイドロコロイドは、出てきた体液をすこし含むことが出来ます。しかし、完全防水ではないので、その上にウレタンなどの防水素材がかぶせてあります。商品によって、全体がハイドロコロイドとウレタンの均一な厚みのシートと、
絆創膏のように中央にハイドロコロイドが付いていて、大きめのウレタンシールが重ねてあるものがあります。

今では、小さい傷用の絆創膏タイプから、大きい患部に貼るシート状のものまで、多種多様の市販品が売られています。傷の大きさに合わせて、選ぶことが出来ます。
中には、大きいシート状で売られていて、患部に合わせて切って貼ることが出来、経済的なものもあります。

最も安価に済まそうとしたら、食品用のラップフィルムをテープで貼る人もいます。これはなかなかテクニックが必要です。

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予備で買っていましたが、出番無し

メリット

メリットとして言われているのは、
・傷が早く治る
・傷跡が残らない
となります。

デメリット

デメリットでは、
・治療用被覆材値段が高い
・初期は1日複数回、数日間は毎日交換、患部の洗浄が必要
・ケガの状態、細菌の侵入などで、悪化することがある
などです。

本当に効果があるの?

さて、さらりと湿潤療法について書いてみましたが、私も実際にやってみた感想を書いていきます。結果は、意外にもデメリットの方が多く感じました。治ることは治るのですが、手間とお金がかかりすぎ、結果はそれほどきれいに治りません
ほんねの湿潤療法について書いていきます。

経験談

私は2回ほどやったことがあります。
1回目は、湯沸かしポットの蒸気を腕に当ててしまい、丸く(直径3㎝くらい)やけどしたときです。(皮がめくれるくらい)
2回目は、ロードバイクで落車したときです。擦過傷は左側の腕、肩、腰にありましたが、ひどい腕の2カ所にに湿潤療法をやりました。

やけどの時

やけどの時は、ポットの向こう側の物を取ろうとして、ポットの存在を忘れていて、腕に沸騰した蒸気が当たってしまいました。蒸気の当たった形で、丸く、水膨れよりひどく、皮がズルっと取れました。
最初は応急処置で、ガーゼを当てていましたが、ネットで調べて、湿潤法が良いと書いてあったので試してみました。

ドラッグストアで、安めのハイドロコロイドシートを買って貼ってみました。一番大きいシートを買ったのですが、3枚入りで600円くらいだったと思います。名の通ったメーカーでは、倍くらいの値段でした。大きさ的には、ちょうどやけどの丸形が収まる大きさでした。

まず、患部を水道でしっかり洗ってから貼り付けます。患部からはリンパ液や白血球などの体液がどんどん出てきて、本来ならば、かさぶたを作ろうとしているようですが、シートを貼って空気に触れさせないため、液体のまま貯まっていきます。
そして数時間でシートは膨れてしまい、漏れそうになったため、寝る前に交換しました。次の日の朝は、すでにかなり貯まっていました。

最初は体液の出る量が多く、すぐにいっぱいになってしまいます。シートによっては、液体を吸って保持する機能を持っているものもありますが、ただのシートは、漏れない防水シートと同じです。患部の周りの皮膚との粘着力で、漏れないようになっています。そのため、患部とシートの大きさがぎりぎりだと、粘着する部分が少なくなり、漏れてしまいます。

最初は、半日に1回交換し、次は1日で交換しました。交換の目安は、体液がパンパンに膨らんだときです。だんだんたまってくるスピードが遅くなると、2日に1回でいいかなとなってきます。
要するに、初日は3枚、2日目~5日目は1枚以上/日という感じで、6日目以降は2日に1回でもよいと思います。
シートは値段が高いため、患部が大きいと、2週間くらい続けると3000円くらいかかってしまいます。病院に行った方が安いかもしれません。

そして、2日くらい持つかなと思って、交換しないで寝たときに悲劇が起こりました。
布団の中で寝返りを打ったりすると、患部を布団に押し付けたりします。その時、シートから体液が漏れたようで、朝起きたときに布団のシーツが汚れていたのを発見しました。ショックです。

およそ1週間程度で痛みは治まります。シートを交換の際は、患部を水道で洗いますが、激痛が走ることは無かったのですが、生々しい傷口を手で擦るわけで、何とも気持ちがいいものではありません。
2週間くらいで、患部を空気に触れさせても、触っても痛くはありません。赤々した皮膚が出来ているようですが、何とも見た目が痛々しいです。見ため的には、なんか貼った方がいいかもしれません。とりあえず通常生活で当たっても、痛くありません。

傷口がきれいに治ったかというと、やっぱり跡は残ります。かさぶたが出来た場合と比べてどうなのかはわかりませんが、やけどのタダレみたいなものは残りませんでしたし、かさぶたで皮膚が引っ張られてしわが出来るような治り方はありません。ただ、色は黒っぽくなっており、跡としては残っています。歳なので、若い人はどうかわかりません。

落車の時

自転車乗りでよくあるのが、転んだ時に擦りむくことです。ひどい人は結構広範囲に、擦過傷が出来ます。ロードレースする人は、湿潤療法をよく使っているようです。
ただ、私は救護されたことが無いのでわかりませんが、応急処置は、湿潤療法ではないと思います。材料が高いからです。また、範囲が広い(太もも何十cmもやる人もいます)時は、出来ません。

私が落車したときは、道の端が変に段差が出来ており、くねくねした狭い道だったのですが、対向から大きなトラクターが突然現れたときに、びっくりして端に避けようとして、その段差から落ちそうになって必死にこらえたのですが、結局落ちて倒れてしまいました。
タイヤはパンク、STIは ずれただけですが、体は手、腕、肩、腰を擦ってしまい、グローブとサイクルジャージの肩のところは穴が開きました。

湿潤療法は、肩に近い腕と、ひじから下の腕のところに行いました。範囲が広いというか、長く擦れたような傷で、シートで全部覆うことは出来ません。また同じ大きめのシートを購入し、貼れる所だけ貼ってみました。

大きな擦り傷には貼りましたが、その周りにも細かい傷が付いていたので、貼っていない部分はかさぶたになってしまいました。
さっきも書きましたが、シートと皮膚の粘着力で体液を漏らさないようにしているため、患部が大きく、シートからはみ出していると、その部分がくっつかず、体液が漏れてしまいます。今回は漏れてしまいますが、寝る時はビニールをかぶせてテープを貼り、服や布団が汚れないようにしました。湿潤療法の方は、前回みたいにきれいに体液を封じ込められていないため、体液で膨れることはなく、しぼんでいました。

よく見ると、シートからはみ出ているところのけがはかさぶたが出来ていますので、すぐに隣り合った同士で、かさぶたと湿潤法の比較ができることがわかりました。

1ヶ月程度で、ほぼ治ってきます。結果は、傷跡は少し残ります。では、貼らなかったところはどうでしょうか?あまり変わりませんでした。傷が浅いところだったからかもしれません。ただ、「湿潤法すげー」とはなりませんでした。

落車の傷は広範囲(これでも落車時は15km/h程度)

やってみた結果のメリットは?

メリットは、よくわかりません。正直な感想です。
傷跡がきれいになるということですが、確かにやけどの跡のしわしわした、肉の寄ったような跡にはなりませんので、平らにはなります。ただ、そういうやけどの跡は相当ひどいケロイド状になった時でしょうから、そういう時は病院での治療が必要です。

治りが早いと言われますが、早いとは思いません。やっぱり2週間くらいは痛みもあったり、傷としてひどい見た目です。きれいに治るには1ヶ月かかります。脱脂綿、消毒での治療と変わりません。

患部が清潔になるとのことですが、ガーゼの絆創膏で、細菌が入って問題になるようなことはあまり聞きません。逆に、湿潤療法の方が、漏れたり、交換しなかったり、傷が深くて洗い切れなかった場合に、傷が悪化する話を聞きます。素人がやるには、リスクがあります。

正直なデメリット

治療費が高額

ハイドロコロイドシート、防水絆創膏などで検索すると出てきますが、結構値段が高いです。キズパワーパッドは有名なブランドですが、小さな傷用で10枚600円くらいから売られています。大きな傷では、3枚700円くらいからです。

小さい傷であっても、毎日交換が推奨されています。完治には2週間程度かかるので、1箱使ってしまいます。
確かに、ガーゼの絆創膏も1日で汚れてしまうので、貼り替えなければなりませんが、100枚100円からラインナップがある絆創膏とは、コスパが違いすぎます。

大きい傷では、1枚当たりの金額が300円にもなります。体のあちこちにけがをした場合、1ヶ所でも10枚使ったとして、2500円くらいになります。複数個所ではその倍数になります。

それに、5㎝角の絆創膏でふさげる傷は、3㎝角以下です。周りに皮膚と粘着するスペースがないと、シートが貼りつかずに、漏れてしまいます。10㎝x40㎝のロール状で売られています。1枚1000円ですので、30㎝以上の擦り傷では、1万円はかかりますね。

食品用ラップでやれば、安く済むと言われています。確かに、安いのですが、体液が漏れたり、ぐるぐる巻きにして覆わなければならないので、余計な気遣いが増えてしまいます。

手間がかかる

最初に患部をきれいにして、絆創膏を貼るのは、普通の絆創膏と変わりません。
普通のガーゼ絆創膏であれば、出てきた体液はガーゼが吸い取り、上部の穴から蒸発させます。しかし、防水のハイドロコロイドシートは、体液を逃しません。貯まったら、交換してやらなければなりません。
交換する際に、患部を水洗いします。傷口生々しい部分を水道水で流しながら、軽く指で擦ってやります。痛みはありますが、数日で、痛みは治まると思います。(おさまらない場合は、重症なので、病院へ行きましょう)ただし、傷口は2週間ほどは赤々と生々しいので、見るのも擦るのも、勇気がいります。
初日は2回くらいやることになるでしょう。次の日から1回程度になりますが、1週間は毎日やることになります。2週間目も2日に1回はやるでしょう。
普通のガーゼ絆創膏であれば、汚れたら確かに交換しなければなりませんが、かさぶたが出来てきたり傷口も収まってきたりするので、体液の片付け、傷口の洗浄、新しいテープの貼り付けの手間よりは楽です。

漏れる可能性がある

防水のシートは、出てきた体液を逃しませんので、どんどん出てくる体液で、あっという間にいっぱいになり、風船のように膨らんで、いずれどこからか漏れ出してしまいます。漏れたら最後、溜まっていた体液は、全部ぶちまかれてしまいます。

また、傷口が大きかったり、擦れたような傷が筋状に入っていて、とても絆創膏ですべてを隠せないと、その筋状の傷1本でも絆創膏の縁を通っていたら、そこから漏れます。(その傷から体液が出るので、粘着力が無くなります)
擦れた場所が広かったり長かったりすると、完全にふさぐことは出来ません。

擦り傷が広く、シートに入りきらないと、体液が漏れます

洗浄が不十分だと化膿する

消毒液を使うと確かに有効な体液まで死んでしまいますが、ばい菌も殺してくれます。
水道水だけでは死ななかったり、傷が深かったり、洗い方が不十分では、治療の後にばい菌が増えて化膿してしまうことになります。あくまでも素人の治療ですので、だれも保証してくれません。

あせもやかぶれなどの可能性がある

傷を隠すように、傷の周りの皮膚に貼り付けることになります。要するに、ケガをしていない皮膚に、完全防水のビニールを貼り付けるようなものです。そのため、汗を逃さなかったり、皮膚の老廃物も付いたままになり、あせもや皮膚疾患の恐れがあります。皮膚の弱い人はかぶれや赤くなることがあります。そのため、毎日はがして洗浄が必要ということですが、皮膚が弱い人には厳しいかもしれません。
普通のガーゼの絆創膏は、通気性がある為、そこまでひどくはありません。

重度のけがややけどには効かない

あくまでも皮膚再生の手助けをするするだけです。傷が深くばい菌や異物が取り出せないままふさぐのは危険です。やけども皮膚の表層までで、重度のやけどまでは治せません。

2歳以下の子どもには使えない

理論的に、小さい子どもは皮膚が薄いので、シートの粘着力に皮膚が耐えられません。はがすときに皮膚に傷がつく可能性があるそうです。体液を逃さないため、かなり粘着力が強くなっています。

かさぶたになったら使えない

一旦乾いてかさぶたが出来てしまうと、その下が洗浄できないため、この治療は出来ません。かさぶたの下にばい菌が残っているかもしれません。
小さな乾燥程度のかさぶたであれば、また溶けてしまうらしいのですが、湿潤療法をする意味が無くなってしまいます。

絆創膏を切って使えない物もある

ものによっては、縁の部分だけが粘着部分になっているので、その部分を切ってしまうと皮膚とくっつかずに体液が漏れます。

サランラップはいいの?

お金の問題を解決するために編み出されたのが、サランラップです。
体液を漏らさないよう、サランラップを巻き、縁をテープで貼ります。
ただ、うまくやらないと漏れます。可動部分や毛が濃い部分などはしっかり付かなかったり、剥がれてきたりします。

また、夏は暑く、蒸れたりあせもが出来たりします。腕の場合は、冬の長袖の下に隠れるようにできるのでまだよいのですが、さすがにむき出しはかっこ悪いです。長袖の下でも、体液が漏れ出すと、服が汚れるので、良くないですね。

かさぶたは悪ものではない

悪くいってしまうと、手間がかかる、お金がかかる、不衛生になる、治りも早くなく、傷跡も残る。良いことなしです。(そしてグロい)

なぜか、湿潤療法の説明で、かさぶたにはばい菌が残ってしまって不衛生と書かれていますが、私は違うと考えています。
かさぶたもその下は体液を保持しています。あふれた分は固まって更なる流出を抑えたり、蒸発したりします。要するに、かさぶたは人間の治癒力で作られた自然のハイドロコロイドシートと同じで、その下で体液が、殺菌と新しい皮膚の形成をしていると思います。かさぶたは後で取れてしまい、その下にきれいな皮膚が出来ていますからね。

かさぶたについて、どうして悪いのか?その点が書かれていません。
ガーゼも必要な量を吸い込んで、余分な水分は蒸発させています。完全に乾かしているわけではないので、特に問題はないと考えます。
医療機関も、ガーゼと包帯がいまだ一般的ですので、湿潤療法のメリットはないのだと思います。(傷による処置は様々ですので、私が言っているのは、素人でも治せる浅い傷です)

他の人の意見を聞くと、若い人では、早く治るという人もいますが、
私は、今度けがしたら、ガーゼの絆創膏で治すと思います。
そのとき、湿潤療法の方がやっぱりいいと思うかもしれません。(落車はしないように乗っているので、そんな日は来ないで欲しいですが)

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