ポジションの決め方は、
・ショップなどで、体の形に合わせて調整してもらう
・自分でダメなところを探して、調整する
に分かれると思います。要するに、調整してもらうか、自分で調整するかです。
初心者の方は、買ったお店でざっくり調整してもらうと思います。ほとんどは、サドルの高さだけで、それ以外は、真ん中辺に合わせていると思います。
お金のある方は、いきなり機械で測定して、ポジションを出しているかもしれません。
私は、ポジションは生き物だと思っています。
筋肉の発達していない人、乗り慣れていない人、ポタリングの人、レースをする人などで、その状況に応じて、ポジションは変わると思います。初心者と上級者では、筋肉の付き方も違いますので、手足の長さだけでポジションは決められないと考えます。
また、ポジションが決まっていても、1回のライド中には、いろいろな姿勢で漕いでいるはずです。全く微動だにせず、同じ姿勢で漕いでいたら、同じ筋肉だけ疲れ果て、当たっている部分は痛くて腫れ上がります。ですので、いろいろな筋肉を使うために、漕ぎ方や姿勢を変えていると思います。
そんな、決定的なポジションがないロードバイクなので、日ごろの違和感や乗り方に応じて、自分で調整できた方が良いと思います。
これは、私のポジションの決め方を基にしています。ですから、初心者向けです。
一からのポジションの決め方や、こんな問題の時は、どんな解決方法があるのかを説明してみます。ポジションの考え方やトラブルシューティングにお使いください。
やり方は、ビスを2~4本緩めるだけで、簡単に調整出来るものです。パーツも2つだけです。(ステムを含めると3つ)
簡単に出来て、効果の大きい部分の調整方法です。
ポジションが変えられるパーツ
調整するパーツは2つで、
・サドル
・ハンドル
だけです。
サドルとハンドルの調整だけで、ポジションが大きく変わります。どうしてもの場合は、ステムの長さを変えますが、これは買い替えになります。他にも、ハンドルの形状やサドルの形状、クランク長、最後はフレーム変更によるジオメトリ変更になりますが、そこまでやらなくても、大体の位置に調整できます。
①サドルの高さ
サドルの高さは、シートポストを上下させます。
通常20㎝くらいは上下しますが、もっと上げたいときは、シートポストの長いものと交換します。
一番下まで下げても下げ足りない時は、フレームを替えなければなりません。最初にフレームを選ぶときに、注意が必要です。
ひざがまっすぐ伸びる
膝が伸び切ってしまうと、筋肉が全く使えません。筋も伸びて痛めてしまいます。
それをカバーするために、足首を動かす(アンクリング)ことで、つま先を伸ばしてごまかしたり、片尻ずつ下げたりする動作になります。
踏み込むときは、つま先が少し下を向いても良いですが、下死点でひざが軽く曲がるところまで、サドルを上下させてください。
つま先を下に向けない
足が届かないと、クランク(ペダル)の下死点で、つま先を伸ばしてしまいます。
クランクの下死点で、つま先を下げないと届かない場合は、サドルが高いということです。
お尻が動かさない
足が届かない分、お尻を落として、足を届かそうとします。
後ろから見ると、お尻を振っているような、サドルから左右に落として漕いでいる格好になります。
これもサドルが高いことになります。
支障が無い範囲で、出来るだけ高く
サドル位置が高い方が、力が入りやすくなります。しかし、足を回しづらくなります。
足が回しづらくならない範囲で、出来るだけ上げた方が、力が出しやすくなります。
ケイデンスに関係
先に書きましたが、普段ケイデンスが高い(90~110rpm)人は、サドルの高さを少し下げた方が膝が回りやすくなります。
逆にケイデンスが低い人(70~90rpm)は、膝が伸びるあたりが一番力が出るので、サドルは高めになります。
シートクランプビスを緩めると、シートポストが上下します。引き抜きすぎないように。
②ハンドルの高さ
ハンドルを下げると、エアロフォームになるので、空気抵抗を受けづらくなります。出来るだけ下げた方が良いのですが、上半身の筋力、体幹など、鍛え方で大きく変わってしまいます。無理せず最初は上げておきましょう。慣れてきたら、徐々に下げていくことになります。
ハンドルの高さは、ステム下のコラムスペーサーを抜いたり増やしたりします。
大きくはステムを替える必要がありますが、ステムを上下ひっくり返すと、角度が上向きか下向きに変わるので、それで高さも調整できます。
スペーサーでは、20mm程度、ステムで30mm程度の調整幅があります。
出来るだけ低く
空気抵抗を減らすためには、なるべく頭を下げなければなりません。
しかし、下げるほど、足は動かしづらくなり、背筋や首、腕が疲れてきます。
最初は筋力もないので、体が楽になるよう、高めのセッティングにしてください。
スピードを出さない人や、楽に走ることを優先する人は、ハンドルを高くして、体を起こした方が良いでしょう。
プロのレーサーは、短時間のレースの間に、頭を上げる必要がほとんど無いので、ハンドルを下げています。普通に乗る人は、巡行している時以外は、楽な姿勢の方が疲れが減りますが、その時ハンドルを下げていると、体を起こすことが出来ません。(エアロポジションは、ロングライドでは疲れが増します)ですので、無理に下げる必要はありません。
前が見えるように
下げれば下げるほど、空気抵抗が減りますが、頭を上げても前が見えないと事故を起こしますし、首が痛くなります。ほどほどに。
首や腕が疲れない高さ
顔を上げれば前は見られるけど、疲れてすぐ下を向いてしまうのでは、意味がありません。
また、腕が疲れたりします。
首の痛みはつきものですが、自分が乗っている間、耐えられる程度に、ハンドルを高くしましょう。
手のひらが痛ければ、上げる
ハンドルを下げすぎると、手に体重が多くかかってしまいます。
鍛えられた人なら、腹筋や背筋で体の姿勢を維持できますが、素人では腕で体を支えてしまい、手のひらが痛くなってしまいます。
素直にハンドルを上げましょう
ひじが軽く曲がるくらい(腕が伸び切らない)
腕(ひじ)が伸び切ってしまうのは、体を支える体幹がまだ弱いからです。初心者は、腕を伸ばして乗る方が格好いいような気がしますが、知ってる人から見れば、素人だとわかります。
伸び切ってしまうと、腕から直接路面の振動を受けるので、手や体も痛くなります。
また、それ以上体が起こせないので、楽な姿勢が取れず、体がすぐ疲れて痛くなってしまいます。
腕を伸ばしたり曲げたりして、体が動くようにすれば、疲れが軽減できます。
ヘッドキャップのビスを外し、ステムの固定ボルト2カ所を緩めると、ハンドルが抜けます。それから、コラムスペーサーの数を調整して高さを変えます。調整のやり方はコツがあるので、ググってみてください。
③サドルの前後
サドル取り付けのビスを緩めることで、サドルは前後と角度が調整できます。
まずは、サドルの前後を調整してみてください。わからない場合は、とりあえず、目盛りの真ん中にしておき、走り慣れてきたら調整しても良いでしょう。
また、サドルを前後に動かすと、ペダルから(BBから)の距離が遠くなったり近くなったりします。
サドルを後ろに移動したら、サドルの高さを下げ、サドルを前に移動したら、サドルの高さを上げて、微調整しましょう。
踏み込みたい人、体重を乗せたい人は前より
体重を乗せてペダルを回せる人は、前よりに座ると、地面と垂直に足を下ろしやすくなります。トライアスロンバイクやTTバイクの様なポジションです。
太ももの筋肉も使いやすくなり、スプリントもしやすくなりますが、多用するとすぐに疲れてしまうので、注意が必要です。
足が疲れる人は、後ろより
前よりに座ると、踏みやすくなる代わりに、疲れやすくなります。遅筋(すぐ疲れない筋肉)で回すのであれば、後ろよりに座った方が良いかもしれません。
実は姿勢も変わる
サドルを前に出すと、ハンドルとの距離が近くなり、体が起きてきます。
逆に、サドルを後ろにすると、ハンドルとの距離が遠くなり、体が寝てしまいます。
ハンドルの高さ調整以外で、上半身の姿勢が変えられます。
ステムの長さをすぐに変えられない時は、微調整として使うこともできます。
足を上げづらい、太もも上が張る時は、サドルを前へ
サドルを後ろよりにすると、お尻を引いた形になり、ペダルが上死点の時、お腹と太ももが近くなります。これは前屈と同じなので、体の固い人は、サドルを前に出し、骨盤を立てることで、足は上げやすくなります。
④サドルの傾き
サドルは沼というだけあって、痛いからと言ってサドルだけ替えても、うまくいかない時があります。漕ぎ方、姿勢、ポジションでも、痛みは変わりますので、調整も見直す必要があります。
またの真ん中が痛い人は、前下げ
尿道の辺りが痛い人は、サドルの前側が当たっています。ちょっと下げましょう。
前を下げすぎると、前にずれ落ちてしまい、手でハンドルを押して戻そうとするため、手が痛くなります。
またが痛い時は、骨盤を立てる乗り方をすれば、座骨で座ることが出来ますので、姿勢も含めて調整しましょう。
座骨(骨盤)が痛い人は前あげ
お尻の両側の尖った骨(座骨、サドルの一番幅の広いところに当たる骨)が痛い時は、骨盤を寝かせる(前に倒す)ように座りましょう。この時尿道に強く当たらないように。
サドルの前を上げると、尿道の方に重さが分散します。
手が痛い時、お尻が前に滑っていく時は、前上げ
サドルが前下がりになっていると、体が前に行き、手で支えてしまいます。座りも安定しませんし、足でも踏ん張ってしまいます。
私は意外にこれで悩みました。前上げにしてある程度お尻でどっしり座った方が、足の力が抜けるため、ケイデンスを上げたり、足を休めたりしやすくなりました。骨盤も立てられるようになり、手も痛くなくなりました。なにより、手放しがしやすくなりました。(不要ですが)
足を回しやすいのは、前下げ?前上げ?
ショートサドルなども流行っていますが、サドルの前に延びた部分は、足を回すのに邪魔だという人もいます。サドルの前を上げることで、骨盤の自由度も減り、太ももの動きの邪魔にもなります。この辺は難しいですが、サドルの傾きで改善する場合があります。
サドルを固定している2つのビスを緩めると、前後にスライドします。
締める時に、前ビスを多めに締めると前下がりとなり、後ろビスを多めに締めると前上がりになります。
⑤ハンドルの傾き
ハンドルの傾きは、それほど影響はありません。前下がりでは、ハンドルが下がり、姿勢が低くなりやすく、前上がり(しゃくる)では、姿勢が高くなります。
握り方が変わってしまうので、自分の腕の置き方で調整してみてください。
手首上側がきつい場合は前を下げる
あまりハンドルが上向き(しゃくり)になっていると、手首が上に折れて、痛くなりますので、自然に握れる角度にしてください。
手首上側が伸びている場合は、前を上げる
逆に、ハンドルが下がっていると、手首の上側が伸びてしまい、ブレーキの時などに前に滑り落ちそうになります。やはり、自然に握れるように調整して下さい。
上側2本、または下側2本を緩めると、ハンドルの傾きが変わります。
⑥ステムの長さ
ステムの長さはおおよそ、60mm~120mmが、10mm刻みでラインナップされています。長さを替えられるステムも販売されていますが、重量の問題などもあり、あまり一般的ではありません。
また、ステムには角度が付いています。ひっくり返せば、上向き(高く)になったり、下向き(低く)になったりします。見た目では、下向きで長い方がかっこよく見えますが、ポジションに合わせる方が大切なので、気にしないでください。
腕が伸びてしまう。ハンドルが遠い
ステムを短くしましょう。
ハンドルが近い。自然と頭を下げたい(エアロフォーム)
ステムを長くしましょう。
筋力が無くても、エアロフォームになります。(手が疲れるので、長時間は無理です)
ステムが短くても、体幹が出来ていれば、ひじを曲げて乗ることで、頭を下げることが出来ます。短い方が、上半身を上げたり下げたり、自由にできます。
しかし、ステムが長くてハンドルが遠いと、ひじを曲げることが出来ず、姿勢を替えられないため、首や肩やてが痛くなります。迷ったら、大きいフレームやステムより、小さめを選んだ方が、体の自由度が高いです。
調整のタイミング
調整するタイミングは、乗っていてどこか痛かったり、疲れたり、違和感があった時にいじってみてください。私は結構大胆に数cm変えてしまいます。よく、1mmや0.5mm変えればすごく変わるという人もいますが、それは、ほとんどポジションが固まっている人だと思います。
最初は特に、筋肉が付いてきて、乗り方がどんどん変わりますので、いろいろ試してみるのが良いでしょう。
筋力以外にも、乗る目的で変わってきます。街乗りやポタリングなどは楽な姿勢で、平坦巡行やレースなどはエアロポジションになるので、調整が全く異なります。目的をしっかり決めるか、ロードバイクを複数持って、目的別に調整するのがベストでしょう。
体幹、筋力で補正は出来る
私は乗るたびに、いろいろポジションが定まらずに悩んでいます。パワーは無いので、そんなにパワーや加速の良い調整はしませんが、力を温存する乗り方や、ケイデンスを変えたりと、いろいろ試しています。乗り方自体が決まらないので、ポジションも決まっていません。
また、速く走れても、膝や腰が痛くなったり、お尻やももが痛くなったりすれば、ポジションを変えなければなりません。
私は以前は、前乗りでサドルを前下げにし、ハンドルも目いっぱい下げていましたが、今は、真ん中乗りで、サドルもフラット、ハンドルもそこまで下げません。ただ、体幹的に、バイクの調整に関わらず、ベストなフォームも自由にとれるようになったので、乗り慣れてくれば、多少の調整のずれは、体幹で修正できると思います。
調整して乗ることは、一つのモチベーション
何も目的を作らず、ふらふらと楽に乗っていると、いずれ飽きます。
グルメでも、タイムでも、距離でも、何でも良いので目標を作ると、走る意味が出来てモチベーションも上がり、次はこうしたいなど、続けることが出来ます。
ポジションも、少し変えることで、どんな走りになるのだろうか?楽になるのか痛くなるのか?そんなお試しのような目的で、ライドすることが出来ます。
パーツを買って試し乗りするのも楽しいのですが、毎回買うことは金銭的にも出来ません。無料で出来るポジション調整は、そのたびに確認する目的が出来るので、一つのモチベーション維持と言えます。
こちらは、伊藤雅和選手が海外のプロ選手などのポジションを具体的な数値で示しています。非常に興味深いですね。参考になるかと思います。
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