一生懸命考えて、やっと選んだロードバイクの高級タイヤ。装着していざライド。乗り心地がいい!転がり抵抗が少ない!などと喜んで帰ってくると、あれ?サイドカット?切れてる!なんてことはよくありますね。不思議です。
大枚はたいて買ったタイヤ。簡単にまた購入なんて出来ません。
でも、ネットで「これ切れちゃったんだけど、使えますか?」なんて投稿したら、一律「すぐ換えろ!」なんて言われてしまいます。他人事ですからね。責任取れませんし。
でも、安全面から言えば、そのとおりです。
でも、切れても使っている人もいる。切れたからすぐバーストするわけではない。この使い続けるかどうかの違いは何なのでしょうか?
タイヤの構造を知って、バーストするメカニズムを理解することで、タイヤを100%使いきりたいと思います。
※私は、クリンチャーしか使ったことがないので、クリンチャー限定での話です
※あくまで持論です。保証はしません。自己責任です
タイヤの構造
ケーシング(カーカス)
タイヤの内側で繊維が束ねられてタイヤの形を形成しています。
繊維の特徴ですが、伸びに強いので、内側からチューブの空気圧で押されても形が変形しないようにしています。これが傷つくと、内側の空気圧に耐えられなくなり、破けたりバーストしたりします。
ゴム
接地部(トレッド)とサイドウォールとビードからなるゴムタイヤです。コンパウンドとは、ゴムの成分のことです。
ゴムの役割は、路面と接地するほか、外部の衝撃からチューブを守ることがあります。
ケーシングとゴムは、鉄筋とコンクリートの関係
ケーシングの繊維と、ゴムは、重要な関係性があります。
ゴムだけでタイヤを作ると、切れたところは簡単に割けてバラバラになってしまいます。
ケーシングだけでは、地面の砂や異物が、直接遷移やチューブを傷つけてしまいます。
要するに、ゴムは切れても、ケーシングのおかげでバラバラになりません。
また、ゴムは押される力に強く、地面と接地し、体重を支えています。逆に言えば、引っ張られると簡単にちぎれます。
反対にケーシングの繊維は、押されたらふにゃふにゃです。しかし、ロープと同じで、引っ張られても簡単に切れません。ケーシングは、チューブの空気圧を抑え込む役割をしています
鉄筋コンクリートも同じです。
コンクリートは、重量物が載ってもつぶれない特徴があります。建物を支えるだけの耐荷重があります。その代わり、割れやすいという弱点があります。でも、割れても崩れなければ、支え続けられます(お城の石垣と同じ)
その崩れない役割を、鉄筋が担っています。コンクリートに鉄筋が埋め込まれているので、コンクリートが割れても、鉄筋がくっついているので、崩れていきません。
お互いの弱点をカバーしあっている構造です。
切れた場所で判断する
タイヤにひびや切れ込み、穴などが開くことがあります。サイドは弱いので、サイドカットは致命的と言われます。
ただし、この時の切れ方で、現象が変わってきます。
トレッド、サイドウォールだけ切れたとき
ゴムだけの切れ目や穴であれば、すぐにバーストやパンクはしません。乗ろうと思えば、ほぼ問題なく乗れます。上級者のように、タイヤの性能で成績が左右されるのであれば、剛性や寄れやバランスなどに影響があるかもしれません。
でも、素人が乗る分には、わからないと思います。私はサイドにカットのあるタイヤでレースに出ましたが、特に支障はありませんでした。
ケーシングが切れたら、即交換
タイヤが切れたときに、ケーシングの繊維がもろに見えていたり、繊維が切れていたら、非常に危険な状態です。繊維は、伸びづらいですが、鋭利なものに対しては簡単に切れてしまいます。むき出しになると、異物に当たりやすくなり、切れますし、切れてしまえば、それを空気が内側から押しているので、さらにひどくなっていきます。切れ目から、チューブがこんにちはして、プクッと膨らんでいたら、アウトです。
チューブの空気圧を抑えているのは、ケーシング
チューブに空気を120PSIなど、高圧力で封じ込めていますが、チューブだけでは簡単に風船みたいに膨らみます。それを抑え込んでいるのは、ケーシングです。繊維は引っ張りに強いからです。おそらく、ケーシングの無いタイヤであれば、すぐにバーストしてしまいます。周りのゴムなんかは、簡単に傷つき、亀裂が入り、割けやすいものですから、内側から高圧で押されながら何かが刺されば、風船を針でつつくのと同じです。
ゴムが切れていても、すぐにバーストしない
ケーシングがチューブを抑えているので、ケーシングの繊維が切れていなければ、内側からの力でタイヤが割けることは無いと思います。
バーストというと、突然の破裂音とともにパンクするものです。反対にいつの間にかパンクしているのは、スローパンクとも言います。
バーストするとなると、一気にケーシングが大きく切れて、内側の空気圧によって破裂音がするわけです。ケーシングをまで切ってしまう大きな原因があるはずです。
ゴムの切れ目でパンクしやすいのは確か
では、ゴムが切れても問題ないかというと、次にパンクしやすくなるのは確かです。
ただ、ゴムの切れ目が原因でのパンクは、そこに小石や異物が挟まって、抜けなくなり、回転し続けることでどんどん深く入ってしまうことでしょう。その小さな切れ目に小石が挟まるのは、相当に確率は低いですが、砂利道ばかり気にしないで走る人や、何回転もするタイヤなので、挟まる機会(チャンス)は自然と増えてしまいます。
挟まったものがとがっていれば、チューブに穴が開きますし(チューブ交換で対応可能)、ずっと転がっていれば、ケーシングが傷つき、本当にタイヤ交換が必要になります。
劣化や摩耗でもパンクしやすくなる
パンクというのは、チューブに穴が開くことです。タイヤが劣化して弾性が減ると、異物に対して凹んだり逃げたりできなくなり、そのままブスッと刺さるので、パンクします。
また、摩耗して厚みが減ると、異物がチューブに届きやすくなり、穴が開きます。
また、空気圧が高いと、異物への反発が強くなり、刺さりやすくなります。
亀裂だけれはなく、いろいろな要因で、パンクは起こります。
切れ目の対応
切れたところには異物が入りやすいです。これは切れ目をふさいでおいた方が良いです。
ネットでは、ボンドを推奨されています。私も使用しています。
注意して欲しいのは、これは、ゴムをつなぐ力はありません。ゴムをつないでいるのは、ケーシングです。
タイヤ用のパッチもあります。これは、ケーシングが割けても接着してなんとか使用できるというものです。耐久性は保証されていませんが、応急処置に使えます。
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サイドが弱いのは当たり前
サイドは接地面と違うので、摩耗しません。厚みがある必要はありません。クッション性やコーナリングの剛性などで厚みが設計されていますが、軽量化の為、薄く作られています。
サイドなので、ぶつかる確率は低いのですが、薄いため、ぶつかると切れやすいのは確かです。しかし、先にも書いている通り、ケーシングが傷つかなければ、致命傷にはなりません。
サイドが傷ついたら、即交換は安全の為必要な考えですが、同じところが再び傷つく確率も低いです。
確かにサイドは、乗っていると伸縮の大きいところであり、変形によりダメージも広がる可能性があります。それ以上ひどくなっていないかは、常に確認した方が良いでしょう。
パンク層の謎
タイヤの説明では、耐パンク層というものが付いています。パナレーサーのジラーは、軽量化のために接地面側にだけ配して、サイドにはありません。ピレリのPZERO veloTTに至っては、耐パンク層無しになっています。
しかし、この耐パンク層について、詳しい説明がありません。何で出来ているのでしょうか?
考えられる効果としては、鋭利なものを通しづらい、刺さりづらい繊維で出来ているのでしょうか?耐切創手袋のようなものでしょうね。
でも、それはケーシングにも同じような効果があると思います。
ピレリのTTのレビューを見ても、パンクしやすいとか、使い物にならないとかいうコメントはありません。決戦用と割り切っているからかもしれませんが。
結局は、耐パンク層があってもパンクはします。その差は明確ではありません。軽量タイヤはゴム部分の厚みが薄いため、同じように使ったらパンクしやすいに決まっていますが、耐パンク層がどの程度効果があるのかは謎です。
安全第一なのは確かですので、様子を見ながら乗ってください。スピードも控えめに。
ひどくなるようでしたら、すぐにやめましょう。
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